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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

ついでにきりをつけて行こうかしら。

仲居 たいへん待ち兼ねていらっしゃるのよ。

村萩 すぐに行かないとまたあとで悪くてよ。

墨野 しょうがないね。

仲居 ではすぐに来てください。(退場)

墨野 では行って参ります。いずれ後ほど。(退場)

村萩 二人でしましょうか。

浅香 (気の無さそうに)もう花合わせはよしましょうよ。(札をかたづけつつ)私は今晩は負けてばかりいました。(考える)ことしはどうも運勢がよくないらしい。

村萩 花合わせのようなものでも、負けると気持ちのいいものではないのね。

浅香 まったく。

村萩 あなたはこのごろおからだでも悪いのじゃなくて。

浅香 どうして?

村萩 なんだか景気がよくないのね。いつも沈んでいらっしゃるわ。

浅香 私の性分ですわ。

村萩 少しおやせなさいましたね。

浅香 そうですか。

村萩 あまり物事を苦になさるからよ。私みたようにのんきにおなりなさいな。

浅香 でも何もかも情けない事だらけですもの。

村萩 それはそうよ。けれど私たちのような身で、物を苦にした日には、それこそ限りがありませんわ。

浅香 ほんとにねえ。

村萩 私も初めはあなたみたいに、考えては悲しがっていたのよ。