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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
考えまい。
ほかの座敷から鼓の音がきこえて来る。かえで登場。浅香を見ると声をあげて泣く。
浅香 (かえでのそばに寄り、のぞき込む)かえでさん。どうしたの。かえでさん。
かえで あんまりです。あんまりです。(身をふるわす。簪が脱けて落ちる)
浅香 どうしたのだえ。だしぬけに。(簪をさしてやる)まあおすわり。(かえでを火鉢のそばにすわらせる。自分もそのそばにすわる)
かえで (泣きやむ)おかあさんにひどくしかられたのよ。帰ると呼びつけられて。私が悪いのよ。おそくなったのだもの。でも帰られなかったのよ。けれどあんまりな事をおっしゃるのだもの。
浅香 私もそうだろうと思いました。
かえで つかみかかるようにして、頭からどなりつけられたわ。できるだけひどい言葉を使って。私はかまわないのよ。どうせ私はおかあさんにかけたら虫けらのようなものですもの。なんと言ったとてしかたはないのだし、もうしかられつけていますからね。けれどおかあさんはあのかたの事を悪く悪くはたで聞いていられないような事をいうのですもの。
浅香 唯円様の事もかえ。
かえで お銭を持たずに遊ぶ者は盗人も同じ事だって。