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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
これはとても恋いをせずにはおさまるまいと思われたのでな。そのとき私は恋は罪にからまったものだとは言った。しかしさびしく飢えている唯円の心になんのそれが強く響こう。唯円は自分のあくがれに油をそそがれたような気がしたに相違ない。さびしさはますます強くなって行く、そこへ善鸞が花やかな光景を見せつける。向こうから誘い寄せる美しい女の情熱があらわれる。それにふらふらと身を任せたのだ。一度身を任せればもう行くところまで行かねば止まれるものではない。「一すじにやれ」私の言葉を思い出したにちがいない。おゝ、私はおだてたようなものだ。それに(苦しそうに)善鸞の稚ないものの運命をおそれない軽率な招き、私はよそ事には思われない。私はどうしても唯円の罪を分け負わなくてはならない。その私がどうして裁くことができよう。
僧一 ごもっとものようではありますが、あなたはあまり神経質にお考えあそばします。あなたは恋をすなと禁じられなかったまでのことです。恋をせよ。ことに遊女と隠れ遊びをせよとすすめられたのではありません。唯円殿が自分の都合のいいように勝手に解釈したのです。善鸞様の事について私は何も申し上げることはありません。