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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

みなわしの運命を成し遂げるために役立ったのだな。

専信 (登場。弟子たちに一礼する)ただ今到着いたしました。

唯円 専信殿、一刻も早くお師匠様のおそばに。

専信 (親鸞の寝床のそばに寄る)お師匠様、専信でございます。

親鸞 (目をひらく)専信か。よく来てくれた。(目おのずから閉ず)わしはいよいよ召されるのじゃ。

専信 安らかに往生の本懐を遂げられますよう。

親鸞 先に往って待っている。

専信 お師匠様の御恩はいつまでも忘れませぬ。師弟の縁ほど深い、純いものはありますまい。

親鸞 あの世でふたたび会いましょう。もう二度と別れることのない所でな。

専信 わたしもあとから参ります。じきに参ります。(涙ぐむ)ほんとうにじきでございます。

弟子衆涙ぐむ。顕智登場。一同に会釈する。唯円「すぐに師のそばへ」と目くばせする。

顕智 (親鸞の枕もとに寄る)顕智でございます。おわかりでございますか。

親鸞 (目をひらく)わかります。(目を閉じる)なにごとも浄土でな。

顕智 はい。

親鸞 お前の国の御法儀は。

顕智 ますます隆盛でございます。

親鸞 専空は。

顕智 この春奥州へ発足いたしました。(涙ぐむ)所詮御臨終のお間には合いますまい。