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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
顔蔽いせる者 その欲望はお前の分に過ぎている。お前の目に不浄のある限りは。
人間 弓矢にかけても。
顔蔽いせる者 あわれなものよ!
人間 (手をのばして顔蔽いをとろうとする)
顔蔽いせる者 その手に禍いあれ!(遠雷きこゆ)
人間 (ひざまずく)
幻影の列あらわる。
顔蔽いせる者 見よ。
人間 鳥や獣やはうものの列がすぎる。鷲は鳩を追い、狼は羊をつかみ、蛇は蛙をくわえている。だがあの列の先頭に甲冑をかぶり弓矢を負うて、馬にのって進んでいるのは人間のようだ。
顔蔽いせる者 彼は全列を率いている。
人間 あれは征服者だ。
顔蔽いせる者 そして哀れなもののなかの最も哀れなものだ。
人間 あ、馬に拍車をあてた、全列は突進しだした。(凶暴なる音楽おこる)まるであらしのように。あんなに急いでどこに行くのだろう。
顔蔽いせる者 滅亡へ。すべての私を知らないものの行くところへ。
人間 おゝ。
列通過す。あらしのごとき音楽次第におだやかになり、静かに夢のごとき調子となる。新しき幻影現わる。
顔蔽いせる者 見よ。
人間 若い男と女だな。男はたくましい腕の中に女を抱いている。そして女は男の胸に顔をうずめている。