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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

お嬢さん、あっしのここを、買っておくんなせえ。庄吉、死ねっと、仰しゃったら、死なんとも限らねえ野郎ですぜ。失礼ながら、ぎりぎりの路銀しかお持ちじゃねえ。万一、水当りで五日、七日、無駄飯でも食ったら、一体何うなさる。この財布を、お持ちになるよりは、もっと、辛い思いをしますぜ」

「然し、あの道具は一旦、お前に、差上げた道具ゆえ」

「何んのいわれ、因縁があって、差上げてもらったんで――いや、お互に、唐変木は、よしやしょう。とにかく、こいつあ御納め願います。ほんのあっしの志で――」

左手で、財布を、七瀬の膝の方へ、押しやって、立上った。

「お前――」

「さよなら」

「これっ――又蔵」

七瀬は、又蔵へ財布を渡して、庄吉を追わそうとした。表口から、庄吉が振返って

「深雪さんにゃ、手前がついていやす。御心配にゃ及びません。さよなら」

口早に叫んで、微笑した。そして、軒下から足早に走り去ろうとした時、二人の馬上の武士が通りかかった。又蔵が、駈け出して来た。七瀬が、上り口のところまで出て来た。

「下郎」

馬を停めて、馬上から侍が呼んだ。又蔵が振向くと、一人の武士が、七瀬を、顎でさして