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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

「仙波八郎太に、お逢いではござりませんでしたか」

「仙波?」

一木は、右手の槍を、突き立て

「仙波とは――ちがう。仙波へは、別人が参って――」

「別人とは?」

「別の討手――気の毒であるが、御家のためには詮もない」

「そ、その討手は、貴下様より、先か、後か?」

綱手は蒼白になって、七瀬の横に立っていた。駕屋は、眼を据えて、一木の顔を見ていた。

「前後?」

一木は、脣で笑って

「敵の女房に、左様のことがいえようか。聞くまでもない。無益なことを――」

口早に、いうと、ずんずん降って行った。二人は、暫く眼を見合せていたが

「急いで――急いで」

と、憑かれたようにいいながら、駕の中へ入りかけた。

「合点だっ」

駕屋は、肩を入れると

「馬鹿っ侍、威張りやあがって」

と、呟いて、足を早めた。

「びっくりしたのう、おいら」

「何をっ。吃驚って、あんなものじゃねえや」

「何?」

「手前のは、ひっくり、てんだ。下へ、けえるがつかあ」

「おうおうおう、涎を滴らして木へしがみついて居たのは誰だい」

「それも、手前だろう」

旅人達は、一団になって、高声に話しながら降りて来た。そして、七瀬と、綱手の駕を見ると、一斉に黙って、二人を、じっと見た。