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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

遥かのところに立っている牧へ叫んだ。牧は、眼を閉じたままであった。

「吼えるな、爺」

山内が、叫んで

「一人に三人ずつ、六人してかかれ。大勢かかっては、同志討になる。働きに、自由が利かぬ」

浪人が、お互に、左右を振向いた。そして

「退け」

「尊公が――」

と、一人が云って、油断を見せた一刹那――小太郎は、影の閃く如く、一間余り、身体を、閃かすと、ぱっと、音立てた血煙――ばさっと、鈍く、だが、無気味な音がした。その浪人がよろめいて、倒れた。

「やられた、やられた、やられた」

と、いう人々の叫びと

「うっ」

と、咽喉のつまったような呻きとが、同時に起って、浪人の列が、二三間も、だ、だっと、躓くように、突きのけられたように崩れた。退いた。そして、二人の浪人が、草原の中に取残された。一人は、脚を引摺って、這いながら、一人は、刀を持ったまま、両腕で頭を抱えて――然し、すぐ坐ったように倒れて、丸く、膝の上へ頭を乗せてしまった。

「不覚者」

山内の顔が、さっと、真赤になった。小太郎は、父の背に己の背をつけて、正眼に構えていた。

「あ、味な真似を――」

一人が、三尺余りの強刀を、八相に構えて、八郎太の正面から、迫った。