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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

呼吸が、肩で喘がなくてはならなくなってきた。舌は干き上って、砥石のように、ざらざらしてきた。脚も、頭も、腕も、灼けるように熱かった。

(いつの間にか、かなり斬られたらしい)

と、ふと思ったが、斬られたという記憶はなかった。撲られたという微かな覚えだけがあった。汗が、血が、眼の中へ入るらしく、眼が、痛んだが、もう、眼で対手を見る力もなかった。

「小童――小童がっ」

と、叫びながら、人々を相手に跳躍している小太郎を、追って、山内は、歯噛みをしていた。浪人の二人まで即死して、四人が深手を負った。山内が、激昂しても、小太郎の腕を恐れ、金で雇われているだけの浪人は、小太郎の隙へさえ斬込まなかった。小太郎が、刀を振ると避けた。ただ遠巻きにして、小太郎の疲労を待っていた。

牧は、縄張りのところへ出て、小太郎をじっと眺めていた。そして、斎木に

「何んと申す若者かの、あれは?」

と、聞いた。

「仙波某とか――」

「おおっ、仙波八郎太か――硬直の武士じゃ。あれは、それの倅か――見事な」

牧は、静かに、小太郎の方へ、歩きかけた。貴島が

「何ちらへ」

と、いったが、黙って、草を踏んで行った。