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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
南玉は、立って来て、白粉と、髪油の匂を嗅ぎながら、富士春の肩へ手をかけた。そして
「庄公、その辺に、石があるが――」
「俺、燧石はまだ打てねえよ」
「これは御無礼、これはしくじり――」
富士春が、帯の間から、燧石を出して
「ここに――」
と、手探りに南玉へ渡した。南玉が、石を打つと、庄吉は、座敷の真中に突っ立っていた。富士春の顔の白粉は汚れていた。南玉は、石を打って、火を出しながら
「一つとや、か、人の知らない苦労して」
と、節をつけて、一足一足、石を打ちながら、行燈のところへ行って
「なあ、それぞれ、人にゃあ苦労ってものがあるものだ。俺も、今日は、お由羅邸で、一苦労して来たところだ。自分だけ苦労していると思っちゃあいけねえ」
と、云いつつ、行燈に灯を入れて、小声で庄吉に
「こっちい呼んでおやりよ」
「うむ」
「やさしく一言かけてやりゃ、女なんて化物は――」
「何うせ、化物でござんすよ」
「ほい、聞えたか?――庄公、そんな堪忍ぐらい出来んで、大仕事の手伝いが出来るかい」
「そうか。判った」
庄吉は、元気よく
「お春、こっちへ入らしてもらえ」
南玉が、又立って行って
「ここで、もう一拗ね、拗ねるって手もあるが、そいつあ、差しの場合での。