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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

懲らしめてやればよい、もし、大それた曲者なら、その時、声を立てても遅くはない、この宿の中を、そう早くは逃げられるものではない)

そう考えたが、調所は、もう一度自分から声を立てて、曲者に、自分の居所を知らすのは、危いと思った。何う、反撃されるか、判らないからであった。

庄吉は、呼吸をこらしながら、手函の蓋を、静かに引きあけた。そして、音のせぬよう蓋を懐に入れた。函の中へ手を入れると、その中には、予期していたように、ふくさ包の、書類らしいものが、入っていた。

庄吉は、それを右手で掴み出すと共に――闇の中から、刀が首筋へ、今にも、斬り下ろされるように感じた。誰も入って来なかったが、四方から取り巻かれているように、身体が、恐怖で、縮んできた。

(糞っ、食え)

と、肚の中で叫ぶと――今まで、自分の部屋を出た時から、音を立てぬように、出来ぬ辛抱を、気長にしてきたのが、もう、耐えられなくなってきた。

(勝手にしゃあがれ、べらぼうめ、書類さえ握りゃあ、こっちのものだ)

と、思うと、同時に、音の立たぬよう左手で持ち上げていた手函を、床の間へ置いた。ことり、と音を立てた。