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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
庄吉は、左手の印籠を、一人に渡して、左手を添えて、袖口から折れた右手を、そろそろと出した。手首の色が変って、だらりと、手が下っていた。
「折りゃあがったんだ」
「折った?」
一人が叫んで
「畜生っ」
その男は、鋸を持って走り出した。
「掏摸が、右手を折られりゃ、河童の皿を破られたんと、おんなじことさ」
小藤次は、自分の言葉から、一人の名人を台なしにしたことに、責任を感じた。
「待ってろ、庄吉」
小藤次が、行きかけると、若い者が、走り出した。
「逸まっちゃならねえ」
小藤次は、その後方へ、注意して、自分も走り出した。
小太郎は、小半町余り、行っていたが、走り寄る足音に、振向くと、一人の男が、鋸を構えて
「待てっ、おいっ」
その後方からも、得物をもった若い者が、走って来ていた。小太郎は、眼を険しくすると、一軒の家の軒下へ、たたっと、走り込んで、身構えした。
「あいつ――何んとか――」
走りながら、小藤次が呟いて
「俺んとこの、家中の奴だ。何とかいった――軽輩だ」
と、自分の横に走っている若者へいった。
「御存じの奴ですかい」
そう答えながら若い者は、小太郎の前で、走りとまった。