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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
金子が足りぬゆえ、町人より献金させよ、人がないゆえ、島津斉彬を、異国方に取立てよ、と、己を弥縫するに急であって、政道を布く暇さえござりませぬ。近頃、天下に、密々と行われておりまする、幕府衰亡の取沙汰、これを、史上より見ましても、三百年を経れば、一新するのが、常道となっておりまする」
「その論もよいが、わしの、只今の――」
「斉彬公の仰せの如く、家中に党を立てて、争う機ではござりませぬ。敵は、久光殿でなく、お由羅殿でなく、徳川幕府――」
「益満っ」
名越は、煙管を、畳の上に投げ出して、鋭くいった。
「裏切る所存か」
「議論は、終りまで、お聞き願いとう存じまする」
益満は、身体も、睫毛も、動かさなかった。
左源太は、益満へ、鋭い眼を与えておいて、横を向いてしまった。益満は、ちらっと、それを見たが、平然として
「名越殿」
名越は黙って、益満の方へ振向いたが、顔を見たまま、返事をしなかった。益満は、その顔へ、笑いかけながら
「手前――女を、一人、助けねばならず、家も、国も、天下も――」
「余論を申すな。今の続きを申すがよい」
「これも、その続きの一つでござりまする。女は、常磐津の師匠で、富士春と申し、なかなか、あでやかでござりまするが――」