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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
「高木っ」
和田は、刀を押えて、走り出した。
「高木っ」
「おおっ」
高木の声は、遥かのところから答えた。何者かを追っかけているらしく、二つの足音が、夜更けの、侍町の大地を、微かに、だが、あわただしく、響かせていた。両側の家の中から、犬が吠え出した。二三疋は、和田にも吠えついてきた。
(細作かしら?――今の話が聞えたであろうか? もし、聞えたとすれば一党の破滅になる――いいや、聞えても、そこまで判るまい。いいや、聞えはすまい。何んぼう、静かでも、あのくらいでの話が聞えるものなら、その前に、わしの耳に、つけて来ている足音が入る筈だ)
和田は、そうしたことを、頭の中へ、ちらちらさせながら、走った。
「高木っ、大丈夫か?」
「うむ」
と、答えた時の高木の声は、少し離れていたが、すぐ
「逃した」
と、云った声は、和田の前すぐのところから聞えて、闇の中に、高木の黒い影が立っていた。
同じ邸の、裏木戸からも、二人ずつ、三人ずつ、外の様子を透かして見ては、右へ、左へ、時々に出て行った。
「暑い」
甲突川に沿う道を、それらの中の二人が、小走りに走っていた。二人とも、兵児帯に、裾短い、着流しで、草履ばきであった。