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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

「居るのか、居らんのか」

侍は、声を荒くした。

(逃げられめえかな――おかしい、と、感じて、庄公でも出て来てくれたら)

南玉は、捕吏を対手に戦っている小太郎を考え、その後方で、顫えている深雪を、想像してみた。

「居ません、と、居るのに申し上げやぁ致しませんが――ここが、大事で――」

同心は、一人の捕吏に、南玉を渡して、長屋の中へ入って行った。捕吏が、その後方から、忍び足につづいた。

「大家さん、大変だ、こりゃ」

「何う調べたか、ちゃんと、お調べがついているんだから、隠せねえや」

大家は、気の毒そうに云った。捕吏が

「何うも居るのが判っているに、素直に云わぬと――」

「為にならねえことぐらいは、子供の時分から、心得ているが、そうは行かねえや――大家さん、えらい騒ぎが起りますぜ」

「手向いでもしなさるかのう――困った。当分、借手が無くならあ。あの血ってやつは、なかなか、落ちないもんでのう」

南玉は、それに、答えないで、長屋の中に、すぐ音立てて起って来る、小太郎の抵抗を、想像して、心臓を喘がせていた。

「御免」

入口から、声がした。

「へえ――誰方?」

庄吉が、襖の中から、顔を振向けた。