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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

(何うして、こう、不幸なのだろう)

と、思うと、京へついた夜から、眠れなかった。親に、姉に、兄に――ただ、従え、おとなしくしていろ、と――益満までならいいが

(こんな田舎侍に、あんなことをいわれても)

と、思うと、横を向いていても、涙が出そうであった。

(お母様から聞くと、国許では、もっと、女子は、男に柔順だというが――何一つ、自分のしたいことも出来ずに)

深雪は、いろいろの、姉の、自分の、母の苦労を想い出した。

(でも、お由羅様を刺そうとして、あんなに、みじめに捕えられたり――矢張り、女は、駄目かしら?)

そうも思えたし

(姉さんは、自分のしたいことを、一寸、したばかりに、人手にかかって――)

と、思うと、男の命のままに、じっとしているより外に、ないようにも思えた。だが、益満が、出たり、入ったり――そして、庄吉が、欠伸をしているのみで、部屋から、一足も踏み出すことのできない深雪は

(せめて、この間に、叡山へ行って、父の墓詣りくらいはしてもいいのに――)

と、益満へ、不平の心が、起きて来た。それから

(町方の女が、羨ましい)

とも――それは、自由に出歩ける女を、二階から見ていると、墓詣り一つにさえ――父の墓へ、初めて詣るということ一つでさえ、思うままにならぬ自分に、腹が立ってくるのであった。