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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

討てん時には、討てんが、討てる時になると、向うから、討たれに来る」

庄吉が、小声で

「成る程、この坊主あ、悟ってやがらあ」

と、呟いた。小太郎が

「深雪、ここへ来て、お礼を申せ」

「はい」

「一度は、身体の命を救ってもらい、今又、心の命を救ってもろうた。よく、お前からも、お礼を申してくれ」

庄吉は、縁側に腰をかけて、片手で、草鞋の紐を解きながら

「心の命?――何んですい、それは?」

と、俯向きながら、云った。南玉が

「心とは、これ、十方を通貫して、無色、無声。剣道で申さば、所謂八方破れの構え。技を超越して、敵の動きにより千変万化――確か、そうでござんしたねえ」

と、振向いた。

「今度あ、一番、高座で、びっくらさしてやるんだ」

庄吉が、紐を解いて上りかけながら

「師匠は、生きて戻るつもりかい――俺あ、死ぬんだ」

と、呟いた。

挨拶が終ると、小太郎が

「益満は?」

「浪士方と、お忙がしそうでござります」

「何も聞かぬか」

「何か、江戸に、騒ぎを起して、公方様から兵を出させ、薩摩と、長州と、水戸とが連合して、東西から、江戸を衝く、というような――」

「薩摩では、誰々が、来ているな」