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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
不都合な奴だ。だが、およそ犯罪をするには必然的に動機がある。その動機までを隠すことは出来ないのだ。今に犯人は歎くことであろう」と呟くようにいった。
「その外に何か差当りのご用は……」
と、大寺警部が、遠慮がちに訊いた。と、長谷戸検事は、われに返ったように大きな呼吸をして、警部の方へ振向いた。
「大寺君。この家には、被害者の外にも同居人が居たんだろう」
検事の質問には、言外の意味が籠っているようであった。
それに対して警部は、同じ屋根の下に寝泊しているのは、家政婦の小林トメという中年の婦人と、被害者の弟の旗田亀之介の二人だけで、その外には毎日通勤して来て昼間だけ居合わす者として、お手伝いのお末(本名本郷末子)と雑役の芝山宇平があると答えた。お末は二十二歳。宇平は五十歳であった。
「或いはそういう連中のうちに、ピストルを隠している者がいるんじゃないかねえ。それを調べておくんだよ、まだ調べてなければ……」
「はあ、調べます」
大寺警部は、まだそれを調べてなかったのである。
「で、その家政婦と弟の両人は、昨夜居たのか居ないのか、それはどうかね」
「家政婦の小林トメは、夕方以後どこへも外出しないで今朝までこの屋根の下に居りました。