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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页

青空文庫

うまく掏りかえたおつもりでしたね」

これは亀之介への止めの刃であった。

「これが欲しいのならあげますよ」

亀之介は観念したものか、太々しくいって、ポケットからハンカチーフ包をとりだして帆村の方へ差出した。

「だがね帆村君。中の灰はこのとおり微粉状になっていますよ。お気の毒ながら、さっき読んだ告白書の文句も見えず、それから……」

「それからケリヤムグインも燃焼して、その痕跡も残っていないと仰有るのですか」

帆村はぐっと唇を横に曲げた。

「そういう御心配があるのなら、あとから御覧に入れましょう。あなたのお取替になった黒い灰は、あれは僕があとから拵えておいた第二世なんです。第一世は、灰の形もくずさず、硝子の容器におさめて、あっちに保存してあります」

「えっ」

「もちろんその灰に、紫外線をかけましてね、さっき読み上げた告白書の文句を読み取ったのです。それからあなたさまにはたいへんお気の毒ながら、その告白書の一部が燃え切らずに残っていましてね――あの黒い灰を灰皿から横へ移してみて始めて分ったのですが、灰の下に、一枚の切手位の面積の燃えない部分が残っていたのですよ。それを分析して――なにをなさる」