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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
芝山は小林を救うために、小林のアリバイを証明しなければならなくなったのだ。そのために五十男は全身びっしょり汗をかいて告白をしたが、小林トメはまだそんな秘事が洩れたとは知らないで居る。それと分ったときに、この家政婦は一体どんな顔をすることであろうか。
「君は、花活にピストルを入れに来た人間を見なかったのですか」
帆村は、さっきもちょっと口にしたことを表立った問題として訊いた。
「いいえ、見ませんでした」
芝山は否定した。
「君は、亀之介氏が帰って来たのを知っていますか」
「はい、存じて居ります」
「亀之介氏は、階段の下で、小林さんに冷い水を大きなコップに入れて持って来いと命じたが、その声を聞かなかったですか」
「はい、確かに聞きました。わしはおトメさんの蒲団の中にいながら、外の方に聞き耳を立てていましたから、それを確かに聞いたです。そしてそのあとおトメさんが勝手元の方へ行った様子ですから、これはあぶないぞと思いました」
「なるほど。それで……」
「それでわしは、すぐ蒲団から出るとわしの枕を抱えて、押入れの中に逃げこみました。そして蚊帳を頭から引被って、外の様子に聞耳を立てていました」