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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
次に大寺警部の一行が帰り仕度を始めた。それについて帆村も一緒に部屋を出た。玄関のところで帆村は呼びとめられた。友人の土居が待っていたのだ。
「どうしたんだ。妹がここへ送られて来るという話だけれど、どうなるんだ」
土居は心配を四角い顔一杯にひろげて、帆村にきいた。帆村はその訳を話してやった。
「そうか。すぐ警視庁へ送りかえされるのか。どうだろう、その前ここでちょっと妹に話が出来ないだろうか」
「駄目だろうね」
帆村は気の毒そうに応えた。
「それに、こんなところで話をすると、後で検事の心証を害する虞れがある。適当な時に弁護士を立てて、それを通じて面会するのがいいね」
帆村は正しいやり方を薦めた。警部たちが門を出ようとしたとき、三津子を護送した本庁の幌自動車が警笛をならして門内へ入ろうとしたので両者が鉢合わせとなった。土居が自動車の方へ駈出して行ったので、帆村もすぐその跡を追った。警部は、停った自動車の中へ二言三言いった。すると自動車はそのまま邸内の庭へ入って来て、ぐるっと一廻りをすると門から出て行った。帆村は土居の腕をしっかり抑えながら、それを見送った。薄暗い自動車の中に、三津子に違いない女性の姿がちらりと見えた。