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じごくのししゃ

地獄の使者

海野 十三

「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页

青空文庫

私の説明はこのくらいにしておきまして、後はどうぞ捜査指揮をおねがいいたします」

そういって大寺警部は一礼した。

検事一行は、静粛な聴問の姿勢を解いた。

「すると君は、容疑者一号の婦人が、その被害者を射殺した後、あの高窓へとびあがり、扉を開いて外へ逃げたというんだね」

長谷戸検事の声だった。

「はあ。私はそう思いますが……」

「で、その容疑者一号は、ピストルを持っていたかね」

「いや、持って居りません。追及しましたが頑として答えません」

「ピストルで射殺したことは認めたかね」

「ピストルなんか知らないと、頑張りつづけて居ります」

「いえ。ピストルなんか知らないとね。なるほど、そうかね。……で、君がその婦人を容疑者とした理由は?」

検事は、警部の顔を興深げに見る。

「はい。それはいくつもの理由がございますが、まず第一に、その婦人は今朝この邸に居たこと。第二に、その婦人の名刺の入っているハンドバグが、被害者のかけている椅子の中にあったこと。これを詳しく申しますると、現に被害者の屍体は、その尻の下にそのハンドバグを敷いて居ります。始め私は椅子の背中越しに中を覗きこんだところ、それを発見したのでありました。