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じごくふうけい

地獄風景

江戸川 乱歩

「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页

青空文庫

「やっぱりそうだ。この切口をごらんなさい。決して自然に切れたものではない。何か鋭利な刄物でたち切ったあとです」

刑事の言葉に一同そばへ寄って、繩の切口を見ると、成程、プッツリと一思いに切れている。

「併し、まさか折枝さんが自分で繩梯子を切る筈はないから、風船には外に下手人が乗っていたと考えなければなりません。ところが、この子供も、子供の知らせで驚いて飛び出して見た炊事係の婆さんも、折枝さんが落たあとの風船には、誰も乗っていなかったというのです。僕が駈けつけた時にも、折枝さんが墜落してから二三分しかたっていなかったのですが、風船の附近には誰もいなかった。とすると、この綱は、いつの間に、誰が、どうして切ったのでしょうね」

恋人を失った大野雷蔵が、青い顔をして、さも不思議そうに云った。

「サア、それですて。私も今それを考えていた所ですよ」

木島刑事が、意味ありげに答えた。彼は已に何事かを悟っている様子だ。

それから、一同建物の一室に引上げて、検事の取調べを受けたが、詳細に書いていては退窟だから、重要な部分丈けを抜き出して記して置く。

先ず第一に、三谷少年の臨終の言葉に従って、彼の日記帳が調べられた。