轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つぼ
壺
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1940(昭和15)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,624 字 · 34 页
柱へ間をおいて妙な光りがさすのに気づいた、きらり……きらり……ひじょうに速く、鋭く、きらりきらりと光りがうつるのである。外記は不審に思ってふり向いた。原因はすぐにわかった、そこから右手にこの宿の物置がある、その軒下に一人の若者が立っていて、時をおいては腰の刀を抜いて空を薙いでいるのだ、なにをしているのかはじめはちょっと見当がつかなかったけれど、やがて板庇から滴れてくる雪解の雨だれを覘っているということがわかった。庇から落ちて来る一滴のしずくを、声もかけず抜き打ちにさっと切る、そして刃をぬぐって鞘へおさめる、すぐにまた落ちて来るしずくをさっと切る、雨だれはかなりはげしくあとからあとからと滴るが、それをむぞうさに、誤たずさっさっと切り当てるのだ。ほう、と外記の眼がするどい光りを帯びた、若者は二十五か六とみえる、尻切り半纏にから脛という身なりからすれば、おそらくこの家の下男でもあろう、手足も肩つきも肉瘤が隆々としているし、大きな口、太い眉、眦の怒った、いかにもあらくれといった感じの風態であった。
「……さなきだに妄執多き娑婆なるに」外記はなにを思ったか、ふと謡曲「忠度」