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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
そうした干しもの風景を語っただけですでに、その部屋の薄穢いなまめかしさは容易に想像されるだろうが、さて眼を鏡台の下に転ずるならば、へりのない赤ちゃけた畳には、垢じみた寝巻を丸めたのや、稽古着に稽古靴を一緒にしたのや、顔ふきのタオル等々が四散していて、たとえば不精な女の汚れものでもなんでもかまわずつめ込んだ押入れをのぞいたみたいな感じで、なまめかしさより薄穢さの方が強く眼に迫るのである。こう書くと、いかにも幻滅的な印象を伝えるのに努めているようであるが、しかしそこは、年若い踊り子たちが昼間はもとよりずっといるのだし、夜も大概は泊るのだから、ほとんど四六時中生活している場所である。したがって、穢いことは穢くても、その穢さのなかには、夢みがちな年頃の女たちが、できうるかぎりそこを楽しい生活の場所にしようとしている悲しくはかない努力が見られ、それは穢い印象を随分と相殺しているのである。たとえば壁には、牡丹刷毛のかわりの、これはまた見るからに色気のない楕円形のスポンジがつるしてある横に、――映画雑誌から切り抜いたらしい美男の外国俳優の写真が貼り付けてあり、たまには、こっちも女性のくせに美しい映画女優の顔も貼ってある。