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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页

青空文庫

問いかけたかみさんは業をにやし、せきこんでなにか云おうとしたが、二人のようすがあんまり恬淡としているため、ついに追い打ちをかけることができず、自分が辱しめられでもしたような、重量たっぷりの怒りを抱えてそこを去った。

勝子と良江とが、亭主たちのことにまったく無関心だったかどうかは、判然としない。或るとき、水道端で洗濯をしながら、良江がふと手を休めて、どこを見るでもなくぼんやりと向うを見まもりながら、溜息でもつくような口ぶりでゆっくりと云った。

「男なんて、みんな似たりよったりなもんだね」

すると勝子も洗濯の手をとめ、ぼんやりなにかを考えるような眼つきで、ふと微笑しながら頷いて答えた。

「ほんとにね、みんな似たりよったりなもんさ」

それがお互いの、現に同棲している男についての感慨だとは断言できない。一般論としての男性観であったかもしれないが、いずれにせよ、彼女たちの顔つきや口ぶりは、現実感のこもったものであった。

亭主たちのほうにも、似たようなことがあった。増田と河口とは以前よりも親しく、往きも帰りもいっしょだったし、仕事の現場もできる限りいっしょになるようにつとめた。