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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
二編
端書
福沢諭吉
記
小幡篤次郎
二編
端書
学問とは広き言葉にて、無形の学問もあり、有形の学問もあり。心学、神学、理学等は形なき学問なり。天文、地理、窮理、化学等は形ある学問なり。いずれにてもみな知識見聞の領分を広くして、物事の道理をわきまえ、人たる者の職分を知ることなり。知識見聞を開くためには、あるいは人の言を聞き、あるいはみずから工夫を運らし、あるいは書物をも読まざるべからず。ゆえに学問には文字を知ること必要なれども、古来世の人の思うごとく、ただ文字を読むのみをもって学問とするは大なる心得違いなり。
文字は学問をするための道具にて、譬えば家を建つるに槌・鋸の入用なるがごとし。槌・鋸は普請に欠くべからざる道具なれども、その道具の名を知るのみにて家を建つることを知らざる者はこれを大工と言うべからず。まさしくこのわけにて、文字を読むことのみを知りて物事の道理をわきまえざる者はこれを学者と言うべからず。いわゆる「論語よみの論語しらず」とはすなわちこれなり。わが国の『古事記』は暗誦すれども今日の米の相場を知らざる者は、これを世帯の学問に暗き男と言うべし。