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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

あまり失礼なる仕方にはあらずや。かく人民を子供のごとく、牛羊のごとく取り扱うといえども、前段にも言えるとおり、そのはじめの本意は必ずしも悪念にあらず、かの実の父母が実の子供を養うがごとき趣向にて、第一番に国君を聖明なるものと定め、賢良方正の士を挙げてこれを輔け、一片の私心なく半点の我欲なく、清きこと水のごとく、直きこと矢のごとく、己が心を推して人に及ぼし、民を撫するに情愛を主とし、饑饉には米を給し、火事には銭を与え、扶助救育して衣食住の安楽を得せしめ、上の徳化は南風の薫ずるがごとく、民のこれに従うは草の靡くがごとく、その柔らかなるは綿のごとく、その無心なるは木石のごとく、上下合体ともに太平を謡わんとするの目論見ならん。実に極楽の有様を模写したるがごとし。

されどもよく事実を考うれば、政府と人民とはもと骨肉の縁あるにあらず、実に他人の付合いなり。他人と他人との付合いには情実を用ゆべからず、必ず規則約束なるものを作り、互いにこれを守りて厘毛の差を争い、双方ともにかえって円く治まるものにて、これすなわち国法の起こりし所以なり。かつ右のごとく、聖明の君と賢良の士と柔順なる民とその注文はあれども、いずれの学校に入れば、かく無疵なる聖賢を造り出だすべきや、なんらの教育を施せばかく結構なる民を得べきや、唐人も周の世以来