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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

ゆえに今の学校を支配して今の学校に学ぶ者は、他の賤しき学校に比較せずして、世界中上流の学校を見て得失を弁ぜざるべからず。風俗の美にして取締りの行き届きたるも学校の一得と言うべしといえども、その得は学校たるもののもっとも賤しむべき部分の得なれば、毫もこれを誇るに足らず。上流の学校に比較せんとするには別に勉むるところなかるべからず。ゆえに学校の急務としていわゆる取締りの事を談ずるの間は、たといその取締りはよく行き届くも、けっしてその有様に満足すべからざるなり。

一国の有様をもって論ずるもまたかくのごとし。譬えばここに一政府あらん。賢良方正の士を挙げて政を任し、民の苦楽を察して適宜の処置を施し、信賞必罰、恩威行なわれざるところなく、万民腹を鼓して太平を謡うがごときは、まことに誇るべきに似たり。然りといえども、その賞罰と言い、恩威といい、万民といい、太平というも、悉皆一国内の事なり、一人あるいは数人の意に成りたるものなり。その得失はその国の前代に比較するか、または他の悪政府に比較して誇るべきのみにて、けっしてその国悉皆の有様を詳らかにして他国と相対し、一より十に至るまで比較したるものにあらず。