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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
心事と働きと相当すべきの論
気抜けのごとく、間抜けのごとく、家に残るものは無用の雑物、身に残るものは奢侈の習慣のみ。憐れと言うもなおおろかならずや。産を立つるは一身の独立を求むるの基なりとて心身を労しながら、その家産を処置するの際に、かえって家産のために制せられて独立の精神を失い尽くすとは、まさにこれを求むるの術をもってこれを失うものなり。余輩あえて守銭奴の行状を称誉するにあらざれども、ただ銭を用うるの法を工夫し、銭を制して銭に制せられず、毫も精神の独立を害することなからんを欲するのみ。
心事と働きと相当すべきの論
議論と実業と両ながらそのよろしきを得ざるべからずとのことは、あまねく人の言うところなれども、この言うところなるものもまたただ議論となるのみにして、これを実地に行なう者はなはだ少なし。そもそも議論とは、心に思うところを言に発し、書に記すものなり。あるいはいまだ言と書に発せざれば、これをその人の心事と言い、またはその人の志と言う。ゆえに議論は外物に縁なきものと言うも可なり。畢竟内に存するものなり、自由なるものなり、制限なきものなり。実業とは心に思うところを外に顕わし、外物に接して処置を施すことなり。