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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

と言うばかりなれども、もしこの教師が言葉に富みて言い回しのよき人物にして、「円きとは角の取れて団子のようなということ、水晶とは山から掘り出すガラスのようなもので甲州なぞからいくらも出ます。この水晶でこしらえたごろごろする団子のような玉」と解き聞かせたらば、婦人にも子供にも腹の底からよくわかるべきはずなるに、用いて不自由なき言葉を用いずして不自由するは、畢竟演説を学ばざるの罪なり。

あるいは書生が「日本の言語は不便利にして、文章も演説もできぬゆえ、英語を使い英文を用うる」なぞと、取るにも足らぬ馬鹿を言う者あり。按ずるにこの書生は日本に生まれていまだ十分に日本語を用いたることなき男ならん。国の言葉はその国に事物の繁多なる割合に従いて、しだいに増加し、毫も不自由なきはずのものなり。何はさておき今の日本人は今の日本語を巧みに用いて弁舌の上達せんことを勉むべきなり。

第二 顔色容貌を快くして、一見、直ちに人に厭わるることなきを要す。肩をそびやかして諂い笑い、巧言令色、太鼓持ちの媚を献ずるがごとくするはもとより厭うべしといえども、苦虫を噛み潰して熊の胆をすすりたるがごとく、黙して誉められて笑いて損をしたるがごとく、終歳胸痛を患うるがごとく、生涯父母の喪にいるがごとくなるもまたはなはだ厭うべし。