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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

みずから心身を労して私立の活計をなす者は、他人の財によらざる独立なり。人々この独立の心なくしてただ他人の力によりすがらんとのみせば、全国の人はみな、よりすがる人のみにてこれを引き受くる者はなかるべし。これを譬えば盲人の行列に手引きなきがごとし、はなはだ不都合ならずや。或る人いわく、「民はこれによらしむべしこれを知らしむべからず、世の中は目くら千人目あき千人なれば、智者上にありて諸民を支配し上の意に従わしめて可なり」と。この議論は孔子様の流儀なれども、その実は大いに非なり。一国中に人を支配するほどの才徳を備うる者は千人のうち一人に過ぎず。

仮りにここに人口百万人の国あらん。このうち千人は智者にして九十九万余の者は無智の小民ならん。智者の才徳をもってこの小民を支配し、あるいは子のごとくして愛し、あるいは羊のごとくして養い、あるいは威しあるいは撫し、恩威ともに行なわれてその向かうところを示すことあらば、小民も識らず知らずして上の命に従い、盗賊、人殺しの沙汰もなく、国内安穏に治まることあるべけれども、もとこの国の人民、主客の二様に分かれ、主人たる者は千人の智者にて、よきように国を支配し、その余の者は悉皆何も知らざる客分なり。