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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
日本にて歳入の高を全国の人口に割り付けなば、一人前に一円か二円なるべし。一年の間にわずか一、二円の金を払うて政府の保護を被り、夜盗押込みの患いもなく、ひとり旅行に山賊の恐れもなくして、安穏にこの世を渡るは大なる便利ならずや。およそ世の中に割合よき商売ありといえども、運上を払うて政府の保護を買うほど安きものはなかるべし。世上の有様を見るに、普請に金を費やす者あり、美服美食に力を尽くす者あり、はなはだしきは酒色のために銭を棄てて身代を傾くる者もあり、これらの費えをもって運上の高に比較しなば、もとより同日の話にあらず、不筋の金なればこそ一銭をも惜しむべけれども、道理において出だすべきはずのみならず、これを出だして安きものを買うべき銭なれば、思案にも及ばず快く運上を払うべきなり。
右のごとく人民も政府もおのおのその分限を尽くして互いに居り合うときは申し分もなきことなれども、あるいは然らずして政府なるものその分限を越えて暴政を行なうことあり。ここに至りて人民の分としてなすべき挙動はただ三ヵ条あるのみ。すなわち節を屈して政府に従うか、力をもって政府に敵対するか、正理を守りて身を棄つるか、この三ヵ条なり。