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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
九編
学問の旨を二様に記して 中津の旧友に贈る文
て孝行を責むるとは、はたしてなんの心ぞや。なんの鉄面皮あればこの破廉恥のはなはだしきに至るや。父は子の財を貪らんとし、姑は嫁の心を悩ましめ、父母の心をもって子供夫婦の身を制し、父母の不理屈は尤もにして子供の申し分は少しも立たず、嫁はあたかも餓鬼の地獄に落ちたるがごとく、起居眠食、自由なるものなし。一も舅姑の意に戻ればすなわちこれを不孝者と称し、世間の人もこれを見て心に無理とは思いながら、己が身に引き受けざることなればまず親の不理屈に左袒して理不尽にその子を咎むるか、あるいは通人の説に従えば、理非を分かたず親を欺けとて偽計を授くる者あり。豈これを人間家内の道と言うべけんや。余かつて言えることあり。「姑の鑑遠からず嫁の時にあり」と。姑もし嫁を窘しめんと欲せば、己がかつて嫁たりし時を想うべきなり。
右は上下貴賤の名分より生じたる悪弊にて、夫婦親子の二例を示したるなり。世間にこの悪弊の行なわるるははなはだ広く、事々物々、人間の交際に浸潤せざるはなし。なおその例は次編に記すべし。
九編
学問の旨を二様に記して
中津の旧友に贈る文
人の心身の働きを細かに見れば、これを分かちて二様に区別すべし。