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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
吉川英治『宮本武蔵(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵、宮本武蔵。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 页
だが、清十郎と藤次をのぞいては、そういう神経などはまるで持てない人々だった。
「酒を持て、酒を」
と、威張る。
酒が来ると、
「肴を持て」
と、いうのがいる。
肴がくると、植田良平という藤次に肩をならべるこの道の豪の者が、
「はやく、妓を持て」
と、怒鳴ったので、
「あははは」
「わははは」
「妓を持てはよかった。植田老が御意召さるぞ、はよう妓を持て!」
と、皆で真似た。
「それがしを、老とは怪しからぬ」
良平老は、若いものを、酒杯ごしに睥睨して、
「なるほど、それがしは、吉岡門では、古参に相違ないが、まだ鬢辺の糸は、このとおり黒い」
「斎藤実盛にならって、染めてござるらしい」
「何奴じゃ、場所がらをわきまえんで。――これへ出よ、罰杯をくれる」
「ゆくのは面倒、投げてくれい」
「参るぞ」
杯が飛ぶ。
「返すぞ」
また飛ぶ。
「誰ぞ、踊れ」
と、藤次がいう。
清十郎もやや浮いて、
「植田、お若いところで」
「心得てそうろう、若いといわれては、舞わずにおれん」
と、縁のすみへ出て行ったと思うと、仲居の赤い前だれを、頭のうしろに結び、その紐へ、梅の花をさし、箒をかついで、
「やよ、各※(二の字点、1-2-22)、飛ン騨踊りじゃ。