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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

だんだん見慣れるに従って頭の中の三毛の記憶の影像が変化して眼前の生きたものに吸収され同化されて行く不思議な心理過程に興味を感じた。われわれが過去の記憶の重荷に押しつぶされずに今日を享楽して行けるのは単に忘れるという事のおかげばかりではなくまた半ばはこれと同じ作用のおかげであろうと思われた。

その後妻が近所で捨てられていた子猫を拾って来た。大部分まっ黒でそれに少しの白を交えた雌猫であった。額から鼻へかけての対称的な白ぶちが彼女の容貌に一種のチャームを与えていた。著しく長くてしなやかなしっぽもその特徴であった。相当大きくなっていながら通りがかりの人に捕えられるくらいであるから鷹揚というよりはむしろ愚鈍であるかと思われた。しかしまた今までうちにいたどの猫にもできなかった自分で襖を明けて出はいりするという術を心得ていた。しっぽを支柱にしてあと足で長く立っていられるのもまたその特技であった。この「チビ」は最初の産褥でもろく死んでしまった。その後仙台へ行ってK君を訪問すると、そこにいた子猫がこれと全く生き写しなのでまた驚かされた。

今では「三毛」の孫に当たる子猫の雌を親類からもらって来てある。