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しょうせつのタネ
小説のタネ
吉川 英治
「文藝春秋」1957(昭和32)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,376 字 · 23 页
西遊記の面白さ
子雀の死なども、その息子をいたむ心とつながっていたものだかもしれませんね、とにかく一休さんは、むかし話の一休さんとして、あの儘にしておくのはもったいない存在ですよ、いちどは書いてみたいと思ってます。だが、そんな事蹟から起ったことばでしょうか。誰が云ったか、
「一休は愛すべし、一休の禅は学ぶべからず」
ということばがありますよ。だから書くにしても、うかつには持ち出せませんね。
西遊記の面白さ
僕の読書ですか、読書といっても、くつろぎの気持で手を伸ばす本は、きまって美術書だとか、平易な科学書とか旅行記みたいな物ですね。この頃は怠けぐせになったんでしょうか、勉強のためになんて、読みませんな、ひとの小説もよほどでないとめったに読まない。以前は、暇さえあると、神田、本郷の古本屋街を日課のように歩いては買い集めましたがね、またその当時は片っ端から買って来るとすぐ読んだものですが、近年は買ってもすぐには読まんですな。読まないくせに、古書目録を見るとつい買いこんで、それがだんだん溜っちゃうんで、いまでは書庫に困ってますよ。けれど唯、カードだけは頭にあるんで、必要にせまると、もちろん役に立つわけです。