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ぞくほうしこう
差別の根源を考える
喜田 貞吉
喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页
いわんや優婆塞や自度の沙弥の輩が、処を定めず霊場を遍歴して、乞食に生きつつ法を説き、仏の誓願にすがろうとすることは、いつの代にもなければならぬところである。試みに『霊異記』や『法華験記』『今昔物語』等の古書を繙いてみるならば、これらの例話はいくらでも提出することができるのである。彼ら遍歴の法師は、いわゆる遊行派の成立はよしや一遍上人が始めであるとしても、事実上の遊行僧は、その起原をはるかに上代に求めねばならぬのである。
遊行僧はすなわち浮浪の法師である。打ち寄する浪のまにまに浮び行くものである。古え浮浪人をウカレビトといった。すなわち文字の示すが如く浮かれ人である。これに対してウカレメを『万葉集』には遊行女婦と書いてある。遊行女婦は生きんがために媚を呈し、婬を鬻いだのであったが、しかもこれ「遊行」の文字の古く用いられた実例で、遊行上人の「遊行」もまたこの意味にほかならぬ。遊行上人は必要上施主の供養によって、生きねばならなかったが、その徒が次第に多くなり、これに反して善根の旦那が少くなってきては、彼らは生きんがために種々の工夫をこらさねばならぬ。鉦を打って諸国を修行して廻る鉦打聖なるものが、時宗の末派として、一種の特殊民とみなされるに至ったのも、けだしこれがためである。