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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

またそうまでにはならないものでも、勝手に出家して課役のかからぬ法師となり、公民の戸籍から削ってもらう工夫を始めました。出家はすなわち「家を出る」で、在家の公民ではありません。内々には相変らず家に住んでいましても、もはや国家の戸籍から削られて、公民でなくなれば、地方官もそれに課役をかけることはできません。かくてこの課役忌避の偽法師が、年を経るにしたがって大層たくさんにできました。延喜といえば今から千十余年の昔ですが、その頃の文章博士三善清行の上奏の文によると、当時の天下の民の三分の二は、みなこの偽法師仲間であったとあります。いかにも仰山な書き方のように思われますが、事実はさらにそれよりもひどかったようです。それは幸いに遺っている当時の戸籍によって知ることができます。延喜二年の阿波国の戸籍には、五百五十人の中に男はわずかに六十七人で、女の数の七分の一弱しかありません。かりに実際は男女同数であったとしますならば、男子の七分の六強は、みな公民の戸籍から逃げ出して、無籍者となり、課役のかからぬ婦人のみが、公民の戸籍に残っていたのであります。これはことにひどい地方でありましょうが、大体において男子の三分の二が、公民籍から除かれたということは、決して懸値のないところでありましょう。