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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

したがってこれは自然屠者の職となり、ついには都人の耳に、口に、聞き慣れ、言い慣れた「ゑとり」という語が、一般に屠者すなわち殺生者の名として呼ばれることになりました。ところで、殺生をはなはだしい罪悪として、これを極端に嫌う仏教徒の側からは、この屠者がはなはだしく嫌われました。ことに仏教の本家本元たる印度においては、屠者すなわち旃陀羅をはなはだしく賤しんで、これを排斥し、悪人と称して、ほとんど人交わりもできぬものとしてありましたから、わが仏教徒はそのままお経の文句を輸入して、屠者すなわちエトリを憎んだものでありました。その「エトリ」の語が、訛って「エト」となり、さらに「エタ」ともなる。讃岐の鵜足郡の名が訛って、ウタ郡となったと同じ訛り方です。そしてそのエタすなわち屠者には、通例もっとも下級の非人がなる。賀茂川の河原に小屋住居して、賤職をも厭わず活きねばならぬという河原者が、多くこの嫌われる屠者、すなわちエタになるのであります。もちろんすべての河原者が、屠者となるという訳ではありません。しかしもともと同じ流れの落伍者の群の人々でありますから、ついには事実屠殺を業としないものまでが、同じ仲間の非人すなわち河原者であるということで、すべてがエタと呼ばれるようになりました。