轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じょうき

情鬼

大倉 燁子

「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,393 字 · 35 页

青空文庫

6

次の間のテーブルの上には、黒い布で覆われた四角な箱が置いてある。それは確かに見覚えのある品であった。暴風雨の日納骨堂で見た小田切大使の遺骨、たしかにそれに違いない。しかも目前に立っている人は? あの日コンクリートの廊下で擦れ違った黒眼鏡の美しい男ではないか。宮本夫人と小田切大使の遺骨、私は何だか全てが判ったような気がした。そしてほの白い棒の謎までも。

S夫人は丁寧に頭を下げながら、しかし命令的な語調でいうのだった。

「小田切さんの遺族のお代理として出ました。お遺骨のお返しをお願いいたします」

宮本夫人の顔は見る見る蒼白になった。

6

ながい沈黙の後、遺骨を前にして宮本夫人が語った話はこうだ。

「私と小田切さんとの関係は彼がこの世を去る最後の日までずっと続いていたのでした。世間では疾うの昔、二人の縁は断れたものと思っていたでしょうが、そう思わせるように仕向けたのも、実は私達の考えからやったことで、二人の関係を続けて行こうとするには、何よりも人の口端にのぼるということが一番困ることだったのです。ですから世間の噂をさけるために、故意と私は姿を消していたのです。