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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

をふたたび精読してみて、邪宗門秘曲一連の詩はやはりむかしとおなじで、解らないものがあった。解ったような解らないものがくり返されて、私をうやむやに印象させた。だが、ことばというものを生みつける白秋のことでは、どういう頭もかなわなかったごとく、二十一歳の私が活字の威厳と色彩の発見について、白秋をえらい人だと心に置いたことも今日とかわらなかった。『邪宗門』がちんぷんかんぷん解らなくとも、えたいの知れぬ麻薬入りの活字があの中に封じこめられていることだけは、今日の私にも解るのである。

私は白秋編輯であるところの『屋上庭園』という詩の雑誌の広告を見て、それをまた直接白秋に宛て注文した。名もない一青年の注文葉書は、『屋上庭園』の逓送によってあるえにしをつないでくれた。これが白秋に文通した最初であったが、私は『屋上庭園』の詩をよんで見ても、やはり解らないものは解らないままだった。詩というやつは少々解らない胡麻化しの感じがいるものだというふうに、むつかしい象徴詩の意義とやらの解らない私は、そういう解釈を自分流にしていた。そして白秋の字らしい包み紙のしわを伸ばして、大せつにしまって置いた。