轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そうわ
挿話
徳田 秋声
「中央公論」1925(大正14)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页
お絹も寝床にいて、寝たふりで聞いていた。
道太は裏の家に大散財があったので、昨夜は夜中に寝床を下へもってきてもらって、姉妹たちの隣りの部屋に蚊帳を釣っていた。冷え冷えした風が流れていた。お絹はお芳に手伝わせて、しまってあった障子を持ちだしたりした。
「しかし姉さんはお芳さんと組んでここをやってゆきたいんだろう。姉さんの立場も考えなくちゃね」
「姉さんは大阪へ行けばいいんです。それこそ気楽なもんや。こんな貧乏世帯を張っているよりか、どのくらいましだか。お芳姉さんは、商売なんかする気はないでしょう。あの人にしたところで、辰之助さんの子が、今年兵隊検査に帰ったくらいですもの」おひろはぐんぐん言った。そして帳簿をつけてしまうと、ばたんと掛硯の蓋をして、店の間へ行って小説本を読みだした。
その時入口の戸の開く音がして、道太が一両日前まで避けていた山田の姉らしい声がした。
道太は来たのなら来たでいいと思って観念していたが、昨日思いがけなく兄のところで見た様子によると、子供のころから姿振に無頓著すぎる質であったとはいえ、近ごろはあまり見いい風をしていないのが、姉妹たちの手前恥ずかしかった。