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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页
「お答え申上げます、おそれながらしょうばい上の縁によって、ときに金の融通を頼まれ、やむなく用立てることはございます」と喜四郎は云った、「これは私ども商人に限らず、自分に貯えがあり友人知己に頼まれれば、どなたでもなさることだと存じますが」
「奉行がきいているのは、そのほう家業のほかに金貸しをしておるかどうかということだ、否か、応か、それだけを聞こう」直衛は持っている書き物をあげてみせた、「――友人知己に頼まれて、ときによんどころなく用立てるのと、初めから利息をきめ期日をきめ、期日に返済できぬ場合の処致まできめるのとは、まったくその意味が違うぞ、そこをよく思案のうえ答えるがよい」
「おそれながら」と番頭が云った、「それにつきましては主人はなにも存じません、この五助より申上げますが」
「返答は喜四郎から聞く」
「主人はなにも存じません。この五助いちにんにて致しました」と五助は押して云った、「初めは主人の申上げましたとおり、よんどころなく用立てたものでございますが、無利子では気の毒と借りぬしも云いますし、あきんどとして銀をただ遊ばせておくのも商法の道に外れますので、しぜん多少の利息をいただくということになったようなしだいでございます」