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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页
三
宗兵衛は怒りの眼つきで直衛をみつめ、直衛もその眼を見返していたが、やがて失望したように肩をゆりあげた。
「よし、あとを聞こう」
「話す気がなくなったよ」
「冷静になれたわけさ」直衛は右手で着物の左の袂をぴんと伸ばした、「それとも、いやなら聞かなくってもいいんだぜ」
宗兵衛は気をとり直すという口ぶりで、また語りだした。要屋の訴えを正式にとりあげれば、矢堂玄蕃を処罰しなければならない。それでは藩の面目にかかわるので、借財の三分の二を重職から要屋へ支払って、訴訟をとりさげにするようにという内交渉をした。けれども要屋は御定法を楯にとって、どうしても正式な裁きを願う、と云ってきかないのだそうであった。
「わかった」直衛は宗兵衛の言葉を遮って反問した、「その辺で結論に移ろう、町奉行はどうしようというんだ」
「重職評定を五回やったが、結局、――矢堂に詰腹を切らせるよりほかはないだろう、ということになった」
「河本はそれを承知したのか」
「町奉行一人の責任では裁ききれないところにきてしまった、ということなんだよ」
直衛は立ちあがった。
三
立ちあがった直衛は縁側へゆき、腕組みをして庭を見た。