轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页
八
幾たびその手をくったろう、比野川の「難波」で一度、いや二度だったかな、その次は、――と頭を捻っていると、佳奈が盆を持ってはいって来た。
「やまどりですけれど」と坐りながら佳奈が云った、「まだ早うございましたでしょうか」
「佳奈という人にきいてくれ」と直衛は云った、「酒にも肴にも時刻がやかましいんだ、うっかりすると叱られるからな」
「もの覚えのおよろしいこと」と云って佳奈は盆の上の皿と椀を膳へ移した、「では、その人にはないしょに致しましょ」
「いいなかまになれそうだな」直衛は唇だけで笑い、盃を干して佳奈に渡した、「かために一つ進上しよう」
佳奈は坐り直して、その盃をすなおに受け、直衛が酌をすると、唇のあいだからちらっと舌を出した。
八
ほぼ半刻のちに、矢堂玄蕃がたずねて来た。直衛は彼を客間にとおさせてから、佳奈の給仕でなお暫く飲んだ。
「お椀がさめてしまいました」と佳奈が云った、「召上らないんですか」
「盃であと三つ」と直衛が云った、「そのくらいが汐どきだろうな」
佳奈は黙って酌をした。矢堂を客間に待たせておくのは、時を計っているのだと推察したようだが、佳奈はそんなけぶりもみせなかった。