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しんこざいくれんがのみちすじ
新古細句銀座通
岸田 劉生
「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页
銀ぶら道中記(六)
先にあげた名の如何にも明治味なのはこの唄とともになつかしいものである。
が、パンというものも、も早や菓子の域は脱し、飯の域に進んで来た。見よ、木村家の隣には宝来というパン屋あり、その向いには銀座パンという家がある。殊にこの宝来の盛況はめざましいものである。夕方会社の引け時頃になると、省電を越えて郊外に待つわが家庭のために人々は争って出来たてのパンを求めている。誠に「人は飯のみにて生くるものにあらず」「パンなくて何のおのれが新家庭」である。
銀ぶら道中記(六)
西洋でブレッド・アンド・ミルクの生活といえば、日本の冷や飯にたくあんに相当すると聞いたことがあるが二た昔前まで、ミルクにパンに紅茶を一食まぜるということはハイカラな生活で、まあ自慢の一つになるものであった。しかし生活改善、簡易生活等の流行語と、実際的な必要とから洋服通勤諸子の家庭について、パンという物は決して洒落や見得ではなくなって来た。しかしここにもう一つ考えられることは、それは勿論必要からのものにしても、パンを食うということには、何といっても欧風に対するわが民族の無意識などうけいがひそんでいるということである。