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しんこざいくれんがのみちすじ
新古細句銀座通
岸田 劉生
「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页
銀ぶら道中記(八)
一体に東京のうまいものは、本式の料理よりは、ざっかけないものに多い、天ぷらは今日では料理だと思っている人が多いが、あれは料理とはいえまい。すし、そば、天ぷら、蒲焼等はどうしても、茶の湯の盛んな上方では駄目である。
この横町を入れば、誰の目にも歌舞伎座の大建築が見える。が私はこの建物を美しいとどうも思えない、和風の様式と洋風の材料が融合していず、色も不快で第一和風そのものの好みが概念的で、少しも内からの美が見えない。
銀ぶら道中記(八)
歌舞伎というものは江戸で生れ、江戸で栄えたものであって、江戸歌舞伎の芝居小屋というものの持つ味は、実にこん然と歌舞伎と融け合った感じである。如何にもデヤッとして、それでいてどこか垢がぬけている。私としてはコンクリートでいいからやはり、歌舞伎座は思い切って、江戸風の大芝居の形にしてもらい度かった。がそれはそれとして、どうも歌舞伎座の形は美しくない。破風造りなども概念的な感じがしていやだ。内部も私は好まない。これに比べれば新橋演舞場の方がまだ、下手なライト式ではありながら、素直に西洋風になっているだけでもいやみがなくていい。