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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

「何かいやしないだろうか。気味がわるいね」

一郎君は銃を両手にかまえて、いざといえば、いつでもうてるようにしながら、哲雄君をふり返っていいました。

「大丈夫だよ。もし何かいたら、ポパイが吠えて知らせてくれるよ。あいつがだまっている間は大丈夫だよ」

と、哲雄君は注意ぶかくあたりを見まわしながら答えました。

いかにもそうです。何かがいれば、ポパイが真先に気づくはずでした。こうなると、一匹の犬が何よりのたよりです。

森の奥といっても、しげみばかりではなく、ところどころには広っぱのような場所もあり、自然に道のようになった処もあって、思ったほど進みにくくはありません。犬のあとについて、夢中で歩いているうちに、もう小川の処から二キロほども奥に入ったように感じられました。

すると、その時、ポパイがふと立ちどまって、二人の方をふり返りながら、妙なうなり声を立てはじめたではありませんか。

ギョッとして、思わず立ちすくみましたが、四五メートル先の地面を見ますと、ポパイのうなったわけがわかりました。

「ア、足あとだ! 靴のあとだよ。保君の足あとにちがいない」

一郎君が大きな声を立てました。