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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
イギリス人はベッドにあおむけに寝たまま、手帳を開いて、胸の上に立てるように持って、熱病にふるえる手で、まずい絵をいくつもかきつづけるのです。
岩の多い海岸に沈没している帆船の絵、その乗組員達の乗ったボートが、嵐のために沈んでいる絵、二人の西洋人らしい男が、荒波の中を泳いでいる絵、その二人の西洋人が、椰子の木の立ち並んでいる下で、何かたべている絵、一人の西洋人が、グッタリと死んだようになったもう一人の西洋人を抱いて、大きな涙の玉をポロポロこぼしている絵、一人の西洋人が土を掘って、木の十字架を立てている絵。
そういう絵を次々とかいて、その間にはいろいろ手真似をして見せるので、少年達にもだいたいの意味がわかりました。
つまり、二人の西洋人が、沈没船から、この島の砂浜に泳ぎついて助かったのです。たくさんの乗組員が皆おぼれ死んだ中で、二人だけが命びろいをしたのです。
沈没船というのは、少年達が道具や食料を運び出した、あの断崖の下の沈没船にちがいありません。
二人の西洋人は、この島に泳ぎついて、それから永い間、二人だけの淋しい暮しをつづけたのでしょう。そして、どれほどの日数がたったかわかりませんが、二人のうちの一人が、病気かなんかで、死んでしまったのにちがいありません。